当事務所の林大悟弁護士,明石順平弁護士が平成27年4月15日,新潟地方裁判所において心神耗弱認定による短期の懲役刑判決を獲得致しましたのでご報告致します。

事案の概要:事件番号は,平成26年(わ)第375号窃盗被告事件。平成27年4月15日新潟地方裁判所刑事部判決。神経性無食欲症及び低酸素脳症による認知症の状態にあった30代の女性が,スナック菓子等合計1810円を万引きした事案。

 判決は,被告人が神経性無食欲症及び低酸素脳症による認知症のため心神耗弱状態にあったとし,懲役7ヵ月という極めて短い懲役刑を言い渡しました。服役経験もある被告人に対して懲役7ヵ月の判決というのは,この種事案では異例と言ってよいでしょう。これに対する検察官からの控訴は無く,判決は確定しました。

 この事案で特筆すべきは,被告人とその家族が本件犯行を起こす前に,既に当事務所に万引き問題について相談していたということです。相談を受けた林大悟弁護士は,当事務所が懇意にしている協力医の私的鑑定を受けることを勧めました。この私的鑑定によって作成された意見書が,本件犯行の際,起訴前の簡易鑑定の参考資料とされたのでした。意見書に記載された内容が大きく影響したのか,簡易鑑定でも心神耗弱と判断されました。
 これに加え,弁護人らは被告人の行動制御能力の欠如を示す数々のエピソードを詳細に立証しました。これらの弁護活動が功を奏し,心神耗弱と認定されるに至りました。

 弁護人林大悟はクレプトマニアのための支援団体一般社団法人アミティを設立し,繰り返す万引き犯罪を防止する社会活動に取り組んでいます。その一環として,現在刑事手続にかけられてはいないが,万引きの再犯を危惧する方々とそのご家族からの相談も広く受け付けております。
 本件は,単なる弁護活動にとどまらない弁護人林大悟のそのような社会活動が実を結んだ例のひとつです。事前に相談を受けて協力医を紹介していなければ,心神耗弱という認定はされなかったかもしれません。