当事務所の林大悟弁護士が平成25年7月17日,東京高等裁判所において逆転再度の執行猶予判決を獲得致しましたのでご報告致します。

事案の概要:控訴審の事件番号は,平成25年(う)第782号。平成25年7月17日東京高等裁判所第5刑事部判決。摂食障害を抱えた20代の女性が執行猶予中にコンビニで小物等3点(1616円相当)を万引きした事案。起訴前弁護から原審,控訴審と当事務所の林大悟弁護士が弁護を担当。原審では,被告人を懲役8月の実刑としたため,量刑を不服として再度の執行猶予を求めて控訴した。

 控訴審では,簡易鑑定の信用性を否定し,主治医の詳細な意見書の信用性を認めた。その上で,原判決は,被告人の罹患する精神疾患が本件犯行に及ぼした影響の有無及び程度並びに精神疾患治療の必要姓,相当性という被告人の量刑を考えるに当たっての前提となる事情についての認定,評価を誤って,被告人を実刑に処したものといわざるを得ないと判示。クレプトマニア等は衝動制御の障害の問題であって,是非弁別の問題ではないのに,被告人が万引きをすることが悪いことは分かっており,後で後悔したと述べていることを重視している点において,原審の判断は合理的とは言い難いとした。

 そして,現在実践している入院治療を継続させつつ,社会内での更生の機会を与えることが正義に適うとして懲役8月執行猶予3年保護観察付きの判決を下した。弁護側の主張が全面的に認められ,重要な判断も示しており,画期的な判決である。

 被告人は現在,専門病院での入院治療を継続することが出来ており,弁護人としては回復されることを期待しています。