◯平成29年(ろ)第109号仙台簡易裁判所平成29年11月22日判決
・事案の概要:摂食障害を抱えた20代女性が前刑の同種万引事件による執行猶予期間中にスーパーマーケットで食品類71点(販売価格合計1万1478円)を万引きし,同日に他のスーパーマーケットで食品類12点(販売価格合計2931円)を万引きしたという窃盗2件の事案でした。
仙台簡裁は,万引きの常習性も見られ,規範意識も低下していることも否めないと判示しつつ,被告人が反省し示談を整えたこと,過食嘔吐と万引き癖を治療する目的で専門病院に入院し,条件反射制御法等の治療を意欲的に受けるなどして,医師から寛解しているとの診断を受け,退院後には治療効果を実感していること,継続的な通院治療を誓約していること,姉が同居をさせて見守っていく旨を誓約してくれていること,複数の医師から現在の治療を継続することが相当である旨の一致した意見が提出されていること,被告人が治療を継続し,社会に貢献していきたいとの決意を述べていること等を考慮し,被告人には,家族の支援の下,保護観察所の指導援護を受けながら,摂食障害の治療を途切れることなく継続していくことが,自力更生し,再犯を防止するために最も効果的であると考えられるとして,情状に特に酌量すべき事情があると判断し,社会内で更生する最後の機会を与えてくれました。

弁護の結果:懲役1年執行猶予4年保護観察付き。

被告人の摂食障害が本件各犯行に与えた影響の機序を正確に捉え,治療効果を見定めて被告人に社会内で更生する機会を与えてくれた裁判官,被告人の疾病性に理解を示し更生を期待してくれた検察官に感謝するとともに,裁判官や検察官の期待を裏切ることのないよう被告人を見守っていきます。