当事務所の林大悟弁護士が平成26年3月18日に大阪高等裁判所で再度の執行猶予判決を獲得しましたのでご報告致します。
事案の概要は下記のとおりです。

原審は神戸地裁明石支部平成25年10月22日判決であり、懲役7月の実刑判決でした。被告人は当時74歳の高齢女性であり、前頭側頭型認知症と診断されていました。
原審判決は、被告人の認知症を認定しながらも、完全責任能力である等の理由を挙げて実刑判決としました。

これに対し、控訴審(平成25年(う)第1385号大阪高等裁判所第1刑事部)判決では、

・本件を含む窃盗の問題が過去5年ほどの短期間に生じていること
・入院記録の記載から中程度の前頭側頭型認知症という診断の信用性が裏付けられること
・入院後には再犯をしていないこと
・要介護認定を受けて施設に入所する等の措置を娘らが協力して行っていること
・仮に被告人が完全責任能力を有しているとしても、前頭側頭型認知症が本件犯行に与えた影響について適切に評価し、量刑上被告人に有利に考慮するべきである

等と判示しました。
そして、原審判決は被告人を実刑とした点で重すぎるとした弁護側の論旨には理由があるとして、原審判決を破棄し、懲役10月保護観察付き執行猶予4年の判決を下しました。

現在、被告人は、神戸市から要介護1の認定を受けて高齢者の介護施設で24時間のサポートを受けながら再犯をすることなく平穏な生活を送っています。